研究概要 |
本研究では、自律移動ロボットによる空間知覚のための注視行動において、その行動に適した観測系(大局視または局所視)を適時選択することで、効率的に実環境の理解を行う方法の確立を目指し.平成8年度は,未知環境におけるロボットの移動空間の理解について大局視と局所視の役割分担に関して検討した.具体的には,局所視で得られた部分的な3次元距離情報を大局視で獲得した環境全体の方位情報と融合することで、空間全体の環境マップを生成,さらにロボット自身の環境に対する相対的位置情報も同時に獲得できる方法を提案した.提案手法では,局所視により3カ所以上の観測対象に対する距離情報が観察できた時点で,ロボットの周囲全体の環境地図を構築できた。またこの手法では,ロボットの移動は水平面内に限定していたが,実際には床面の凹凸により揺れ運動が起きる。そこで全方位オブティカルフローの周期性と対称性を利用することでこの揺れ運動を推定する方法を提案した。さらに,正確で,かつ環境の複雑さに合わせた精度で環境マップを生成するためのロボットの行動基準を,観測結果から決定するためにシミュレーションにより誤差原因を調べ,行動と観測の関係について検討した。その結果,ロボットの行動決定においては,リアクティブに行動を決定する基準と環境についての知識に基づく行動基準の2種類の基準を持つことが有用であることがわかった。
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