研究概要 |
本研究は、半導体レーザー(以後、LDと省略)励起共振器内部SHG型マイクロチップレーザーに有機非線形光学材料を組み合わせ、波長900〜1100nm帯の出力を自由に取り出すことを目指した超小型OPOシステムの開発を目的としており、以下のような知見を得た。 [1]共振器内部SHG型Qスイッチマイクロチップレーザーの最適化 OPOの励起源となるLD励起共振器内部SHG型Nd:YVO_4マイクロチップレーザーとして複合共振器構成を応用することで、KTP-Qスイッチの特性改善を検討した。これは、単一周波数で、1.5kWのグリーンパルスが安定に得られた。この値は、OPOの発振閾値条件を満たす値であるが、安定動作のためには、10kWレベルの尖頭出力が必要であり、数倍程度の特性改善が望まれる。(CLEO,1996) [2]有機金属CMTCの加工法の開発と非線形波長変換特性 CMTC(Cadmium Mercury Thiocyanate,CdHg(CNS)_4)は有機金属であり、有機材料の持つ高い非線形性と無機材料並の熱機械的堅牢性を併せ持つ新有機材料である。しかしながら、有機材料であるため研磨、コーティングに問題があった。ここでは、表面加工法の検討を行い、スパッタ法による加工が有効であることを明らかにした。次に、1.06μmと940nmのSHG特性を詳細に調べ、CMTCの基本特性を明らかにし、一般的に使われている無機材料であるKTPに比べても一桁程度のOPO閾値改善が期待できることを明らかにした。(レーザー学会報告,1996) 次年度では、これらの研究成果を基にマイクロチップレーザーによる小型OPOを検討する。
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