平成7年度から開始された日露共同気球実験を平成8年度も行った。気球実験は平成8年7月にロシア国のカムチャッカ半島で2回行い、最初の実験は7月17日に放球し7月23日にヴォルガ川沿いのPermiで回収し、2回目の実験は7月18日に放球し7月24日にやはりヴォルガ川沿いのUfaで回収した。観測時間はいずれも約150時間で気球実験としては長時間の観測であり、これまで4回(平成7年度は2回)の実験全てが成功したことになる。観測機器は日本側が分担し、気球関連の作業(放球、回収等)はロシア側が分担した。観測器は原子核乾板を主体にした軽量型エマルションチェンバー(約250kg)であるが、平成7年度の解析及び平成8年度の予備的解析から、超高エネルギーの宇宙線観測に対して従来の重量型チェンバーよりも多くの点で優れていることがわかった。特にエネルギー決定方法に関しては従来のカスケードシャワー方式に代わる方式を開発した。
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