主にX線天文衛星「あすか」によるX線観測から活動銀河核、中でもブレザーと呼ばれる天体からの放射機構について研究した。ブレザーには2種類の天体が含まれる。一つはOVVクェーサーまたは高偏極クェーサーと呼ばれるもので、X線スペクトルの指数は-1.7程度の比較的緩かい傾きのスペクトルである。この代表は3C279という天体で、1987年からの長期の観測を行っている。スペクトル指数とX線強度に相関はなく、ほぼ一定である。X線強度は30Ghz付近の電波のスペクトルの勾配と相関があるように思われる。つまりスペクトル指数が正となる場合にX線強度が高いと推定される。放射のモデルでいえば、X線はシンクロトロン光子の逆コンプトン散乱で発生したと考えられる。しかし、ガンマ線との相関は明らかではなく、必ずしも同じ原因とは結論できない。もう一つの代表はとかげ座BL型天体(BL Lac)と呼ばれるものである。この天体からのX線のスペクトル指数は-2.5程度で、強度と指数の間に明確な相関がある。また強度変化にエネルギー依存性があり、エネルギーが高い光子の変化の位相が早い。これは強度変化のピークにも谷にも観測された。これを説明するために、シンクロトロン冷却モデルを考えた。高エネルギー電子の輸送方程式の一般解を見つけ、これを用いて、代表的な初期条件で解くことにより、BL Lacの諸現象を再現できることを示した。
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