研究課題/領域番号 |
08239102
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今井 憲一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70025493)
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研究分担者 |
高橋 俊行 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50281960)
橋本 治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50092292)
応田 治彦 高エネルギー加速器研究機構, 助手 (60221818)
田村 裕和 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10192642)
村上 哲也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50219896)
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キーワード | ハイパー核 / ストレンジネス / クリスタルボール / ガンマ線分光 / 微細構造 |
研究概要 |
本年度はまず14台の60%の効率の高純度GeとBGO-Compton SuppressorからなるGe-Ball検出器を完成させた。長時間の使用のため液体窒素の自動補給装置もつくった。また実験中の検出器のエネルギーと時間の更正およびエネルギー分解能のモニターのため、Coの更正用パルサーとモニターデータ測定装置も完成させた。6月からは高エネルギー研究所のπ中間子ビームを用いて^7Li標的についてはじめての実験をおこなった。(π+,K+)反応をSKSスペクトロメーターでtagして^7Li_Λの生成をおさえて、そこからのy線をGe-Ballで測定する。約1か月の測定の結果、はじめて高分解能でハイパー核^7Li_Λの励起状態からのγ線を観測することに成功した。5/2->1/2のE2遷移のγ線についてはエネルギーの値だけでなく、ドップラーシフト法でその寿命をはじめて測定し、Λ粒子のために原子核のサイズがshrinkしていることを確認した。また3/2->1/2の基底状態のスピンダブレットのM1遷移をはじめて測定することに成功した。値は689.7keVであり、ΛNのスピン-スピン相互作用の大きさを決める上で決定的な実験データを与えたことになる。 夏にはこのGe-BallをBNL(米国)に輸送して現地で再度組み立てた。BNLでは(K-,π-)反応で^9Be_Λを生成しこのハイパー核からのγ線の観測をおこなった。約1ヵ月の実験で初期の目標のデータを得ることに成功した。現在鋭意データ解析中である。 我々は新しい検出器を完成させ、ハイパー核のγ分光学をきりひらいた。このことはハイパー核の研究にとってきわめて大きな成果である。
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