• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

有機反応における原子トンネル効果

研究課題

研究課題/領域番号 08240101
研究種目

特定領域研究(A)

研究機関北海道大学

研究代表者

市川 恒樹  北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (10001942)

研究分担者 小泉 均  北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00175324)
真嶋 哲朗  大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00165698)
北村 雅人  名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (50169885)
平岡 賢三  山梨大学, 工学部, 教授 (80107218)
富岡 秀雄  三重大学, 工学部, 教授 (20024599)
キーワード原子トンネリング / 低温化学 / 宇宙化学 / 水素原子移動 / マトリックスアイソレーション / カルベン / 不斉合成 / フリーラジカル
研究概要

(1) アルカンからのトンネル水素原子引き抜き反応の機構を明らかにすべく,低温有機ガラスおよびアダマンタン中での溶質分岐アルカンからの水素原子引き抜き反応速度に対する分子内の炭素位置依存性を調べた。その結果,トンネル速度は反応時の分子変形に対する媒体の抵抗が大きいほど低下することがわかった。
(2) オルソ位に水素供与基を持つ三重項カルベンおよびニトレンの低温での分子内水素移動を赤外吸収法で調べた。主反応はオルソキノイド化合物を与える水素移動だがその反応速度は化合物によって大きく異なった。これはトンネル水素移動速度が分子の電子配置および1重項-3重項間のエネルギー差によって影響を受けたためであると考えられる。
(3) 10Kの低温基板に有機物を蒸着し,これに水素原子を降りかけて生じる反応生成物を,赤外吸収法および質量分析法で調べた。アセトンからはメタンおよびメタノールエタノールが生じたが,アセトンの酸素に水素が付加して生じる初期ラジカルと水素原子との付加反応が遅いため,2-プロパノールは生じなかった。これに対してエチレンでは水素付加によって生じたエチルラジカルに更に水素が付加して生じたエタンが主生成物であった。これらの実験結果は、本研究手法が,宇宙化学で重要と考えられる原子トンネル機構を含む固相反応機構の様相を知るのに適した方法であることを示している。
(4) BINAP錯体触媒によるα-(アシルアミノ)アクリル酸エステルの不斉水素化反応を取り上げ生成物の触媒依存性を調べた。ルテニウム触媒では対応するα-アシルアミノエステル[51〜92%ee]が定量的に得られたが,ロジウム触媒では構造が逆転したee体が100%得られた。重水素ラベル法などを用い,基質の構造と反応性および反応選択性との関係を系統的に調べることにより,生化学工業における重要物質であるα-アミノ燐酸の不斉合成に必要な情報が得られた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Tomoya Takada: "Intramolecular hydrogentransfer of excited alkyl radicals in the solid phase" Chem.Phys.Lett.300. 253-256 (1999)

  • [文献書誌] Hideo Tomioka: "Persistent Triplet Carbene" Acc.Chem.Res.30. 315-321 (1997)

  • [文献書誌] K.Hiraoka: "Gas-phase Thermochemical stabilities of cluster ions" J.Chem.Phys.107. 2550-2556 (1997)

  • [文献書誌] M.Kitamura: "Synthesis of α-Amino Phosphoric Acids by Asymmetric Hydrogen" Enantiomer. 1. 281-303 (1998)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi