研究課題/領域番号 |
08240105
|
研究種目 |
重点領域研究
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮崎 哲郎 名古屋大学, 工学部, 教授 (90023126)
|
研究分担者 |
荒殿 保幸 日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 主任研究員
中村 宏樹 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (10010935)
塩谷 優 広島大学, 工学部, 教授 (80002137)
|
キーワード | トンネル効果 / トンネル反応 / 固体水素 / ESR / 非断熱トンネル / 反応動力学 / トリチウム / 液体ヘリウム |
研究概要 |
固体水素中のHD+D→H+D_2のトンネル反応が、5-7付近において温度上昇と共に反応速度が著しく増大する現象を見出した。この結果は従来のトンネル反応の理論では説明出来ない。温度効果の見掛けの活性化エネルギーは95Kであり、固体水素中の空孔生成のエネルギーに一致する。即ち、固体中のトンネル反応は反応物の運動に関連しており、Vacancy-assisted tunneling reactionというトンネル反応の新しい機構を提案した。 極低温におけるアセチレンアニオンラジカルの光異性化反応の量子力学的トンネル効果およびジメチルエーテルカチオンラジカルのメチル基トンネル回転運動の重水素効果等に関する研究を行った。さらに、4.2Kのコールドチップに試料を吹き付けながら混合保持し、試料温度の制御が可能な極低温ESR用希ガスマトリックス装置の設計と組立を行った。 中村等が開発した非断熱遷移理論によって多準位問題が精度よく解析されうることを示した。特に非断熱トンネル型では共鳴構造が見事に再現されうる。また、水素原子移行反応O(^3P)+HCl→OH+Clについて開店励起が反応を促進することを量子動力学計算で示した。新しい超球楕円座標が水素移行反応に有効でポテンシャルリッジにおけるトンネル現象として反応機構を解明出来る見通しが立った。さらに、非断熱トンネルに基づく一次元分子スイッチの解析を進めた。 超・常流動^3He-^4He混合溶液中で^3He(n,p)T反応により生成するトリチウム(三重水素)のトンネル引き抜き反応を調べるために、中性子照射用クライオスタットの制作および極低温実験を行った。その結果、1.3Kにおける引き抜き反応に対しk(T+H_2)/k(T+D_2)=150という大きな同位体効果を得た。これはトリチウムのトンネル反応を明確に示した初めての結果である。
|