研究分担者 |
髭本 亘 理化学研究所, ミュオン科学研究室, 特別研究員
門野 良典 理化学研究所, ミュオン科学研究室, 先任研究員 (10194870)
山田 耕作 京都大学, 理学研究科, 教授 (90013515)
杉本 秀彦 中央大学, 理工学部, 教授 (00187668)
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研究概要 |
深井(代表者)が計画した主要設備である多空孔金属合成装置は夏休み前に納入され,いくらかの手直しを経て,秋から本格的な稼働状態に入った.本体である350トン・プレスは非常に使い易く,高温・高水素圧下での多空孔金属の生成条件の探索の手順はほぼルーチン化されている.今後は低温での試料回収機能のテストに入る予定である.これと並行して,熱処理後に回収試料中の空孔-水素クラスター濃度を決定する実験,すなわち密度測定と水素の熱放出スペクトル測定の技術開発も行って,これらもほぼ完成させることができた.また,こうして得られた実験結果をもとに金属の水素化に伴う多空孔生成の機構の理論的考察に取り組んで,一応の完成に到達した.(これは論文にまとめて日本金属学会誌に投稿したところである.)この理論の完成によって,今後の試料作成に対する指針が得られ,実験計画が立てやすくなったのは大きな進歩である. 門野(分担者)は極低温でのμSR測定のための基幹設備である希釈冷凍機の設計・建設に取組んで,世界最高の性能を必要とするために多くの技術的困難があったがそれらを克服して,ようやく完成にこぎつけた.既存の設備によるμSR実験では,タンタルの超伝導状態でのミュオン・スピン緩和に特徴的な温度依存性を見出して,ミュオンと伝導電子との相互作用について新しい知見を得た.これは,これまで曖昧さの残されていた問題に明瞭な解答を与えたものである.
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