研究課題/領域番号 |
08240206
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
梶谷 剛 東北大学, 工学部, 教授 (80134039)
|
研究分担者 |
宮崎 譲 東北大学, 工学部, 助手 (40261606)
小野 泰弘 東北大学, 工学部, 助手 (30211832)
豊田 直樹 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (50124607)
|
キーワード | 有機導電体 / 超伝導 / 水素化物 / BEDT-TTF / 中性子散乱 / トンネル現象 |
研究概要 |
本研究はBEDT-TTF分子を含む有機導体とPdHx (0<x<1.0)の異常電気伝導を冷中性子散乱測定、x線回折測定、帯磁率測定および電気伝導度測定等によって多角的に研究する事が目的である。本補助金によって実施した主な研究は(1)有機伝導体の帯磁率に関する水素同位体置換効果に関する研究、(2)中性子散乱による超伝導転移とフォノンスペクトルの異常性に関する研究、(3)有機導電体の水素同位体置換による結晶構造変化に関する研究、および(4)水素化物PdHx (0<x<1.0)の冷中性子散乱測定である。研究の(1)と(2)については研究成果の一部を論文として公表した。(3)と(4)の課題については引き続き実験研究を行っており、一部の成果は日本物理学会1997年・年会(名古屋)にて公表する。 BEDT-TTF分子の両端に水素を重水素に置換したものと重水素化したアンモニアを合成したα-(BEDT-TTF)_2 ND_4Hg (SCN)_4と軽水素のみからなる同位体分子の結晶について室温以下の温度領域で帯磁率測定を行った。その結果、50K付近の帯磁率の極大現象に同位体置換効果が著しいことが分かった。即ち、軽水素からなる試料の50K付近の帯磁率は重水素置換体よりも15%程度小さい。 超伝導体κ-(BEDT-TTF)_2 Cu (SCN)_2に関して高エネルギー物理学研の中性子分光器LAM-DとLAM-40を用いて2.6Kから18Kまでの温度領域における中性子非弾性散乱強度測定を行い、超伝導転移温度以下の領域で2, 4および8meV付近のエネルギーを持つピークが現れる事を見いだした。また、2meV以下の領域においても、温度低下にともなう強い臨界散乱現象を見た。これらの散乱強度変化は主に超伝導転移に伴う水素の振動モードの温度変化によるものである。日本原子力研究所に設置している冷中性子分光器AGNESを用いて同様の実験を行った所、更に詳しいデータを得た。
|