研究課題/領域番号 |
08240218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
馬宮 孝好 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20022600)
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研究分担者 |
長岡 洋介 関西大学, 工学部, 教授 (60022539)
松下 琢 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00283458)
三浦 裕一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30175608)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 量子問題 / スピンポーラロン / 減圧固体 / トンネル効果 / 転位 / 零点空格子波 / 固体ヘリウム / 無秩序固体 |
研究概要 |
固体ヘリウム3は量子効果が大きくトンネル効果によって運動し、空格子波を形成すると考えられる。次の場合に空格子波の検証を目的とした研究を行った。(1)スピンポーラロン:空格子の周りに原子核スピンが強磁性的に配列する領域を云う。固体ヘリウムの低温比熱において核磁性によって説明できない余剰比熱を観測した。 この余剰比熱がスピンポーラロンによるものかどうかを、強磁場を使用することにより検定した。結果はスピンポーラロンによるものではないことを示した。液体及び固体ヘリウムの比熱を広い圧力範囲で測定し、余剰比熱は基盤の表面における無秩序固体ヘリウム層によることを結論づけた。(2)転位の運動:固体ヘリウムにおいては転移のダイナミックスは空格子、他の転位等との相互作用に依存する。転位の運動をねじれ振動計によって研究した。散逸が増加し始める振幅を臨界振幅とすると、臨界振幅の温度依存性は高温では熱活性型、低温では一定値をとる。このことから転位の運動は低温でトンネル効果にクロスオーバーすることを見出した。(3)零点空格子波:零点空格子波は空格子波バンドを含む基底状態と見なされている。平衡状態で存在する固体を減圧することにより空格子波の生成を容易にし、零点空格子波による物性の変化をNMRにより観測することを試してきた。零点空格子波が出現すれば、T_1の減少、T_2と拡散係数の増大をもたらすはずである。強く分極した固体ヘリウム3のNMR信号は複雑な挙動を示すが、まだ今までのところ、零点空格子波の存在を検証していない。
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