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1996 年度 実績報告書

散逸のある巨視的量子トンネル現象の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08240226
研究機関大阪大学

研究代表者

松川 宏  大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20192750)

キーワード量子トンネル効果 / 散逸 / 電荷密度波 / 非線型電気伝導 / ボルテックス / キンク
研究概要

電荷密度波(以下CDWと記す)の量子力学的トンネル効果による運動とそれへの散逸の効果に関する研究を行った。
CDWがトンネル効果により動きそれにより定常的な電流が流れるには、試料中のバルクなCDWの運動とともに、電極近傍でCDWによる電流を普通の伝導電子による電流に変換する過程もトンネル効果によって起こらねばならない。バルクなCDWのトンネルはキンク反キンクの対生成によると考えられる。一方、電極近傍でのCDWによる電流を普通の伝導電子による電流に変換する過程は、固体の塑性変形の際の転位輪に対応する、ボルテックス輪をつくることによると考えられる。この後者の過程のトンネル確率は低電場領域でバルクの過程のそれより小さくなり、これが律速過程になる。これが実験で観測されている電気伝導度の電場依存性を与える事を本研究では明らかにした。
CDW状態ではフェルミ面にギャップを生じるため、オーミックな散逸はバルクな過程には効かない。しかし、超伝導体や超流動体のボルテックと同様、CDWのボルテックスの芯ではその秩序変数が消え伝導電子が生じ、オーミックな散逸が現れる。この散逸は古典極限ではボルテックス輪の半径をRとするとRdR/dtとなる。古典極限でこの形となる散逸の項を径路積分での作用に加えることにより、我々はボルテックス輪の量子トンネル効果による生成に散逸が及ぼす効果を議論した。そして、散逸の効果を摂動として扱う範囲では、これはボルテックス輪の生成確率を抑える事を明らかにした。これらの成果については現在投稿準備中である。
我々はまた、量子ラチェットに関する研究も行い、古典系とは定性的に異なる振る舞いを見いだした。この成果についても現在投稿準備中である。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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