研究概要 |
平成8年度においては、渡邊は多結晶材料の超塑性発現に深く係わる重要な粒界現象の粒界すべりと粒成長に影響すると考えられるいわゆる粒界性格分布および粒界の幾何学配置を定量的に評価しうる装置の、SEM-EBSPオンライン結晶方位・粒界性格自動解析装置(Orientation Imaging Microscope, OIM)を用いて、超塑性を示すジルコニア・イットリア多結晶試料における粒界性格分布と異常粒成長を示した粗大粒を囲む粒界の性格との関連について予備的調査を行った。FE-SEMにOIMを組み込むことにより、サブミクロンの結晶粒径をもつ多結晶セラミックスに対して個々の結晶粒の方位解析および粒界性格解析が可能であることが確かめられ、また異常粒成長を示した粒がランダム粒界まで囲まれていることを見出した。これらの予備的調査により平成9年度に予定されている粒界解析・制御にもとづく超塑性の促進のための実験的研究の準備が整った。また、井関は非酸化物セラミックスのSiCにAl_2O_3,Y_2O_3.CaOを添加した焼結体の圧縮変形試料での粒界微細組織のTEM観察を行い、液相の貯まったポケットの成長を認め、超塑性の素過程である粒界すべりに粒界相の存在が大きな役割を果たすことを明らかにした。また第2相の存在により変形中の粒成長を抑制できるが予想されている。
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