研究概要 |
本研究は、超塑性現象を支配する組織・構造変化をマイクロメカニックス的観点から検討し、各種材料系の超塑性現象を精密に記述する新しい理論的体系を構築するとともに,新しい超塑性材料と超塑性成形・加工法開発の可能性を探求しようとするものである. 平成10年度は,この特定領域研究の最終年度に当たり,研究課題の実績の完結を目指して,以下のような研究 成果を得た. 1) 研究代表者村上は,広範囲の組合せ応力条件での超塑性変形・破壊実験を行い,その観察結果を微視的ならびに巨視的観点から検討した.この結果に基づき,超塑性材料の変形・損傷過程を記述する新しい力学モデルを粘塑性構成式理論と損傷力学理論によって定式化した. 2) 研究分担者相澤は,これまでの超塑性現象の物理モデル・超塑性成形解析に関する研究に加えて,Al-Zn-Ni系アモルファス超塑性材料の創成,AZ9系Mg合金の高速塑性インジェクション成形法ならびにAZ91系Mg合金シート材の高速超塑性スピニング加工法の開発と実証に関する研究を行った. 3) 研究分担者丸山は,Ti-5.5Al-1Fe(mass%)合金の超塑性挙動と変形機構を研究した.高温引張試験の結果,1050〜1200Kの温度域,10^<-4>〜10^<-2>s^<-1>のひずみ速度範囲において400〜800%の良好な超塑性伸びを示すことを見出した.また変形組織の観察の結果,応力集中の緩和が応力誘起のalpha-beta相変態によってなされることが判明し,これにより新たな超塑性機構を提案した. 4) 最後に,研究分担者徳田は,実用超塑性材料A15083合金に対する複合負荷超塑性変形実験を行い,その巨視的ならびに微視的超塑性変形特性を明らかにした.これにより,加工過程解析用粘塑性構成式として微細粒超塑性に対する3ステージ有限要素解析用構成式モデルを提案した.
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