研究概要 |
種々の材料を対象に、超塑性発現のための各材料に共通する普遍的な、および各材料固有の組織・構造因子を解明すると共に、各種材料のナノ組織制御の方法の確立および超塑性変形の機構を明らかにすることを目的として行った。鉄合金を牧が、アルミニウム合金を高山が、金属間化合物を花田が、セラミックスを早川が担当した。得られた主な成果は以下の通りである。 (1)過共析鋼(1.0〜1.7%C)を対象に、フェライト(α)母相中に球状セメンタイト(θ)を均一微細に分散させるための最適な加工熱処理法を検討した結果、パ-ライト組織をγ+θ2C相域に加熱後、焼入れ・焼もどしを施すことにより、微細な球状θが大角粒界をなす微細な等軸α粒内に分散した組織が得られ、大きな超塑性伸びを示すことを見出した。 (2)7475A1合金の高速超塑性発現に対する液相の役割について調べ、固相温度より約20K低い温度で伸びが大きくなり超塑性変形が促進されること明らかにし、Mgの偏析によって局所的に固相線温度が低下し生成した液相が超塑性変形に有効な作用を持つことを明らかにした。 (3)金属間化合物の超塑性挙動と規則化エネルギーの関係に着目して研究を行った結果、規則化エネルギーが高い金属間化合物の超塑性が動的再結晶による結晶粒の微細化とそれに伴う粒界すべりで説明できるのに対して、規則化エネルギーが低いと考えられる金属間化合物の超塑性では動的再結晶とサブバウンダリ組織の形成が重要であることが明らかになった。 (4)セリア添加正方晶ジルコニア多結晶体に種々の2価元素を添加し粒成長抑制効果を調べた結果、2価添加元素(Mg,Ca,Sr,Ba)はいずれも極微量(0.5-1.0mol%)で焼結中における粒成長を抑制すること、イオン半径が小さいほど粒成長抑制効果が大きいことを明らかにした。
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