ナノ組織制御

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08242106
• 研究種目: 特定領域研究(A)
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 牧 正志 京都大学, 工学研究科, 教授 (10026247)
• 研究分担者: 高山 善匡 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (60163325) ; 早川 元造 鳥取大学, 工学部, 教授 (69424512) ; 花田 修治 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10005960)
• キーワード: 超塑性 / ナノ組織 / 組織制御 / 2相微細組織 / 鉄合金 / アルミニウム合金 / 金属間化合物 / セラミックス

研究概要

種々の材料(金属・合金、金属間化合物、セラミックス)を対象に、超塑性発現のための各材料に共通する普遍的な、および各材料固有の組織・構造因子を解明すると共に、各種材料のナノ組織制御の原理と方法の確立および超塑性変形の機構を明らかにすることを目的として行った。得られた主な結果は以下の通りである。
(1) 母相がγ(fcc)のNi-Cr-Fe合金および母相がα(bcc)のFe-Cr-Ni合金を用い、加工熱処理による(α+γ)組織形成過程および超塑性発現のための二相微細組織の特徴を比較した結果、γが母相の場合には第二相が少量(約14%)でも良好な超塑性を示すのに対し、母相がαの場合には母相がサブグレイン組織になるため多量(40〜50%)の第二相が必要であることを明らかにした。
(2) アルミニウム合金の固相線直下で起こる高速超塑性発現と液相の関係を明らかにするため、固相線温度より若干低い温度で最大の破断伸びを示す7475A1合金について、変形応力、破面、熱分析および試験片断向の元素分析の4つの観点から変形中の液相厚さを推定した結果、最適超塑性変形条件での液相の体積分率は0.15%程度、液相の厚さは10-60nm程度であることを明らかにした。
(3) Nb_3Al/Nb複相微細粒材の超塑性発現のための新しい熱処理法を検討した結果、高温(2173K)の間固溶体単相領域で溶体化してから二相領域(1573K)で70%の恒温鍛造を行うことにより、Nb-16%Al合金では、1573K,1.6×10^<-4>/sで900%以上の超塑性伸びが得られることを見い出すと共に、本合金では応力誘起変態が粒界すべりの緩和一機構として重要であることを指摘した。
(4) ジルコニアヤラミックス材料の超塑性発現のための組織制御法について検討し、YCuO_<2.5>またばCuOを0.3mol程度添加することによって焼結温度は無添加の場合と比較して150K以上低下し、1573K,7.2ksの焼結で十分緻密な試料が得られ、結晶粒も微細化することを見出した。

研究成果

• [文献書誌] E.Sato: "Microstructure Control for Superplasticity of an Ultra-High Carbon Steel" Mater.Sci.Forum. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] T.Yamazaki: "Microstructure Change during Superplasitic Deformation in (α+γ) Duplex Stainless Steel" Mater.Sci.Forum. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] T.Furuhara: "Superplasticity of (α+γ) Duplex Stainless Steel with Elongated Secondary Phase" Mater.Sci.Forum. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] W.-Y.Kim: "Large tensile elongation behavior of Fe-14at%Si siorgle crystal" Acta Mater.46. 5701-5713 (1998)
• [文献書誌] W.-Y.Kim: "Flow behavior and microstructure of Co_3Ti intermetallic alloy during superplastic deformation" Acta Mater.46. 3593-3604 (1998)
• [文献書誌] W.-Y.Kim: "Superplastic deformation of boron doped Fe-18at%Si" Mater.Sci.Eng.A248. 78-86 (1998)
• [文献書誌] M.Hayakawa: "Liquid Phase Sintering of Y-TZP with CuO and Y_2Cu_2O_5 Dopants" Mater.Sci.Forum. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] T.Onda: "Effect of Divalent Elements on the Grain Growth of TZP" Mater.Sci Forum. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] Y.Takayama: "Superplasticity over Wide Ranges of Temperature and Strain Rate in a 5083 Aluminum Alloy" Aluminum Alloys,JILM. 2. 1051-1056 (1998)
• [文献書誌] Y.Takayama: "Superplasticity and Thickness of Liquid Phase in the Vicinity of Solidus Temperature in a 7475 Aluminum Alloy" Acta Mater.47 (印刷中). (1999)