研究概要 |
種々の材料(金属・合金、金属間化合物、セラミックス)を対象に、超塑性発現のためのナノ組織制御の方法の確立および超塑性変形機構を明らかにすることを目的として行った。得られた主な結果は以下の通りである。 1.二相ステンレス鋼および軸受鋼を対象に、従来の複雑な加工熱処理に代わるより簡単な超塑性発現のための組織制御法を開発した。二相ステンレス鋼では熱延材の強冷間加工、軸受鋼では微細パーライトの二相域焼入れという、単純な熱処理で0.5〜1.0μmの微細二相組織が得られ、大きな超塑性が発現する。 2.粒子分散アルミニウム合金の固相線温度付近における超塑性と粒界液相の影響を調べた。7475Al合金では、固相線温度直下の温度で大きな超塑性を示すのに対し、5083Al合金では大きな仲びはみられなかった。7475合金の最大超塑性伸びが得られた条件における粒界液相の厚さは10〜60nmと推定された。 3.単相金属間化合物の超塑性発現機構が規則構造に依存することを明らかにした。微細な初期粒でのみ超塑性が現れるfcc型の規則合金(Ni_3Al、Co_3Tiなど)では粒界すべりが、粗大な初期粒でも超塑性が現れるbcc型の規則合金(Fe_3Si、Fc_3Alなど)ではすべり変形に伴う動的再結晶および動的回復が超塑性変形を律速する。 4.Y-TZP及びCe-TZPの微細粒化に及ぼす微量元素添加の効果を調べ,Caが最も有効であることを見出した。また、Y-TZPに対するCuO添加の影響を調べた結果,CuOは焼結性の改善,結晶粒径の微細化,超塑性変形応力の低下等に有効であることを明らかにした。
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