粒径が数ナノメートル程度の超微粒子(ナノ粒子)の性質は、対応するバルク材料に比べて著しく異なる場合がしばしばある。本研究では、ナノ粒子の特異物性の一つである常温超塑性現象について、電顕内その場観察法によって調べた。アモルファスカーボン支持膜上に金属を島状蒸着して所定サイズのナノ粒子を生成し、この支持膜を引っ張り破断させることによって、その破断面上に付着しているナノ粒子自身を破断まで変形させる。この変形挙動を電顕法でその場観察した。試料には、InおよびSbナノ粒子を取り上げた。 粒径12nm程度のInナノ粒子は200%以上伸びた後破断し、破断後の形状はほぼ球形にもどる。粒径6〜20nm程度のアモルファスSbナノ粒子も同様の挙動を示す。しかし、粒径約40nm程度の結晶Sbナノ粒子には伸びは認められず、脆性的に破断する。 以上の結果から、(1)ナノ粒子においては対応するバルク材料に比べて著しく延性が増大すること、(2)Sbナノ粒子はアモルファスでは結晶に比べて著しく延性が増大すること、が明らかにされた。
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