研究課題/領域番号 |
08243104
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小野 勝道 茨城大学, 工学部, 教授 (40006325)
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研究分担者 |
野方 文雄 姫路工業大学, 工学部, 助教授 (70047629)
亘理 文夫 北海道大学, 歯学部, 教授 (70158682)
天田 重庚 群馬大学, 工学部, 教授 (20222680)
小久保 正 京都大学, 工学研究科, 教授 (30027049)
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キーワード | 傾斜機能材料 / 拡散律速反応 / 人工生体材料 / 生体活性材料 / 階層組織 / 生体信号 |
研究概要 |
本研究の中心課題である生物組織と同程度の長距離にわたる傾斜組織を化学的方法で実現するための基本的な条件を検討した。反応物質が拡散可能であり、生成物質が反応によって不動化されるという比較的単純な系について解析を行った結果、反応物質の拡散定数、反応速度定数、材料のサイズによって規定される無次元数によって傾斜組成分布が決定されることが明らかとなった。この結果を、エラストマーの架橋の傾斜分布に適用したところ、実測値とよい一致を示しこの方法が本研究課題に対し一般的に使用できる設計方法であることを示した。次に以上の設計方法をさまざまな人工生体系に適用する目的で、人工生体構成材料であるチタン/アパタイト、チタン/コバルト系傾斜型歯科用インプラントの埋入試験および化学処理を施すことによって表面に傾斜構造を作製した生体活性傾斜機能材料の疑似体液浸漬試験を行った。いずれの場合にも、化学的方法によって作製された傾斜構造が人工材料の組織形成に影響を及ぼし、結果的に材料の生体親和性を向上させるために重要な役割を果たしていることが確認された。さらに、化学的、生化学的に植物に形成される傾斜組織と材料設計の類似性を検討する目的で、植物の傾斜組織形成機構と傾斜組織の解析を行った。植物にみられる傾斜構造の形成が外部刺激、特に電気信号によって影響を受けることに着目し、電気刺激による微視的な組織形成を観察および追跡が可能な装置の試作を行った。一方、植物に生成している傾斜的な階層組織を一本の繊維のレベルから解析するために超音波顕微鏡測定を行った。以上の結果を総合的に検討し、植物における長期にわたる生化学反応による傾斜組織の形成メカニズムを人工材料に応用するための基礎的条件をほぼ把握することができた。
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