研究概要 |
傾斜機能材料の考え方を電子材料に応用し,電子材料の各種機能を飛躍的に向上させることが本研究の目的である.本年度は下記の五つの小テーマについての研究を行い,上記の目的に沿う以下の成果を得た. 1,傾斜機能誘電体基板:比誘電率が傾斜する高周波電送用の平面回路を想定し,その基板の作製法,外部端子との特性インピーダンスの整合性,電送特性の評価方法等を検討し,この種のアイディアが高周波回路の新展開に有望なことを明らかにした. 2,傾斜機能熱電・焦電・誘電・磁性素子:Mz-Znフェライトの傾斜積層体を作製し磁気特性を評価した.またプラズマ焼結技術を電子セラミックスの調製に導入し,十分な磁気特性を得るための条件を検討した. 3,傾斜機能圧電材料:積層型圧電アクチュエータを駆動させる際,電極と材料の界面に発生する応力集中を予測し,電極端近傍の圧電セラミックスを非圧電セラミックスと傾斜化することにより,応力集中が大幅に緩和できることを示し,傾斜機能化によって材料の応用範囲が格段に広がることを明らかにした. 4,傾斜機能磁性薄膜:磁気記録材料として注目されている高Hc型無電解CoNiP薄膜について,電極の改良,電解条件の検討,電解液の選択を行った結果,本実験手法によって複雑な方向への結晶粒径の傾斜化が可能であることを明らかにした. 5,高機能磁性傾斜材料:軟磁性のFeから半硬質磁性のマグネタイトに向かって磁気特性が傾斜した材料を作製し,BrおよびHcが両単体の中間的な挙動であることを確かめた.また同様の手法で正の磁歪を持つFe_2Tbと負の磁歪を持つFe_2Smの傾斜体を作製し,磁気特性の評価を行っている.
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