研究課題/領域番号 |
08243204
|
研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
三沢 俊平 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70005982)
|
研究分担者 |
斎藤 英之 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (00235061)
酒井 彰 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (70136422)
田辺 博義 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (70125376)
|
キーワード | 鉄鋼腐食 / 大気腐食さび / 耐候性鋼安定さび層 / さび / 鉄酸化物 / 傾斜組成防食機能 / イオン選択性 |
研究概要 |
"さびて、さびを抑える"自然環境調和型の耐候性鋼安定さび層について、26年間の長期大気暴露試験により優れた大気腐食抵抗性を発現する最終安定さび層(自然生成物)は、Cr置換微細ゲ-サイトα-(Fe_<1-X>,Cr_X)OOHから構成されており、その組成分布は化学的傾斜性状を有していることを初めて見出した。天然さびに学んだこの機能性さび物質を人工育成して、天然さび層と比較しながら、さび層中のCr置換微細ゲ-サイトの傾斜組成分布に着目し、そのCr置換微細ゲ-サイトさび膜(模擬さび層)のイオン選択性を調べて、防食機能に及ぼすCr置換量の影響を評価した点が本研究の特色であり、研究実績である。 今年度に得られた新しい知見は、以下のとおりである。 1)最終安定さび層は、傾斜的な組成分布を有しており、鋼との界面に近づくにつれてより多くのCr置換微細ゲ-サイトから構成される。2)ゲ-サイトの結晶粒径は、Cr置換量が増加するにつれて、微細になる。3)Cr置換量が増加するつれて、Cr置換微細ゲ-サイトさび膜にカチオン交換膜としての化学的傾斜防食機能が発現し、腐食性アニオンの透過を抑制する。4)長期暴露後の最終安定さび層において、界面に近づくにつれてCr置換量が増加するに伴い、Cl^-の腐食性アニオンの透過が抑制される効果が大きくなると推定される。4)最終安定さび層中のCrの傾斜分布および中間原子価界面薄層(IN-VITAL)を考慮した最終安定さび層の詳細構造を新しく提案した。
|