研究概要 |
水素化シリコン系薄膜の太陽電池への応用を目的に、高品質水素化アモルファスおよび微結晶シリコン(a-Si:H,μc-Si:H)またその合金系薄膜(Si 1-xGex,Si 1-xCx)の低温成膜技術の開発および組成傾斜、相傾斜の導入による太陽電池の高効率化とキャリア輸送特性の制御を行った。具体的には、(1)a-Si:H薄膜の膜厚方向にGeの化学組成が連続的および局所的に異なる傾斜半導体薄膜の作製とそのキャリア輸送特性に関する研究。(2)ジクロロシラン(Si H2Cl2)/H2の定常プラズマ流にシラン(Si H4)添加量を連続的に変化させることで、膜厚方向にアモルファスから微結晶まで連続的に相変化している傾斜構造を設計し、バンドポテンシャルを設計し、長波長領域での光吸収特性の向上と光注入キャリア輸送制御を目指した2項目の研究の行った。その結果以下の結論を得た。1)a-Si1-xGex:H(x=0-0.5)傾斜薄膜において半透明電極をサンドイッチ型に設けた試料に対して、100mW/cm^2白色光照射下での光起電力効果(Voc=0.4V,lsc=10^<-3>A/cm^2)を得た。即ち内部電界が形成されていることを明らかにした。2)過渡光電流計測から、この傾斜薄膜では、主に伝導帯側にポテンシャル勾配が形成されていることを明らかにした。3)SiH2Cl2系から20Å/sの高堆積速度で光伝導性に優れたa-Si:H(Cl),μc-Si:H(Cl)の膜堆積が可能であることを明らかにした。4)これらのa-Si:H(Cl),μc-Si:H(Cl)薄膜ともにSiH4系から作製した膜に比較して高抵抗材料で、且つ光導電性に優れた材料であることを明らかにした。5)本研究に挙げたa-Si1-xGex:H、a-Si:H(Cl)/μc-Si:H(Cl)は、傾斜機能化に極めて有望な材料の選択であることを明らかにした。以上の結論から、これらの薄膜材料による傾斜化が光起電力素子への応用に有効であることが明らかになった。
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