研究概要 |
複雑な天然物の多段階合成では、成否を決める鍵段階反応がある。マクロラクトン化もその一つである。本研究は海洋産抗腫瘍18員環マクロライドで、分子内に4つのアルドール構造、エポキシアルコールなどを持つため合成が極めて困難と考えられるテダノリドにつき計算化学による鍵中間体の分子設計を行い、高効率合成を目指して行われている。C1-C7、C8-C11、C13-C17、C18-C21の4つのフラグメントをそれぞれ合成し、縮合して、鍵中間体のセコ酸を合成し、マクロラクトン化にも一応成功してる。しかし、改良すべき工程がいくつかある。長いルートを要し、しかも反応の立体選択性、収率共に最も悪いC1-C7の合成は、中間体のα,β-不飽和エステルから11工程7%、或いは18工程20%で行われていた。今回、不飽和エステルを直接ジオールエステルに95%収率、99%以上の選択率で変換するバイパスが完成し、 C1-C7フラグメントの合成を大巾に改良(7工程、64%)することができた。これにより比較的大量で効率良く合成するルートが確立した。現在、他の3つのフラグメントの合成、保護基の選択、変換、4つのフラグメントの縮合法の検討などを行っている。
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