研究課題/領域番号 |
08246211
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀江 一之 東京大学, 工学系研究科, 教授 (10013690)
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研究分担者 |
町田 真二郎 東京大学, 工学系研究科, 助手 (20262032)
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キーワード | 有機色素 / 高分子ナノ組織体 / 光ホールバーニング分光 / ミクロ環境ダイナミックス / 構造緩和 / 不均一幅 / ユニマ-ミセル / DNA-脂質複合体フィルム |
研究概要 |
本研究では、種々の色素-高分子ハイブリッドナノ組織体における色素微環境をPHBにより評価し、その光・電子機能との関わりを解明することを目的として、以下のことを行った。 (1)種々の主鎖をもつ高分子系において熱誘起のホール幅の不可逆的変化を測定し、ローカルな分子運動を高分子の化学構造との関わりから評価した。かさ高い置換基をもつ高分子ほど低温からホール幅が広がったことから、自由体積とローカルな分子運動の起こりやすさに相関があることが示唆された。 (2)様々な高分子中で、ホールの飽和深さの分布より、単一の吸収成分のみからなる真の不均一幅を見積もった。色素の感じる不均一幅は、高分子の結晶化度には依存せず、むしろ高分子の極性と関係する因子である凝集エネルギー密度とよい相関を示した。色素の周囲に極性基が存在すると、極性基の配向の仕方により色素周囲の静電的環境の違いが大きくなり、不均一幅が大きくなったと解釈した。 (3)色素含有ユニマ-ミセル形でPHBを行い、ミセル中の色素微環境を評価した。ミセル形成によるホールの熱安定性が向上しフォノン周波数が大きくなったことから、ミセル形成による色素周囲の緻密なパッキングがPHBの結果に反映されたことが示唆された。 (4)色素/DNA-脂質複合体フィルム系のPHB測定より、DNAの核酸塩基対にインターカレートされた色素の微環境を考察した。45K付近からホール幅の不可逆的増加が観測された。色素の感じる不均一幅は、アモルファス高分子系とほぼ同程度であった。
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