研究課題/領域番号 |
08246236
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森島 洋太郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70028249)
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研究分担者 |
四方 俊幸 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10178858)
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キーワード | 両親媒性高分子 / 高分子電解質 / 自己組織化 / 疎水基 / 分子内会合 / ナノ組織体 / ユニマ-ミセル / フラワーミセル |
研究概要 |
両親媒性高分子は水溶液中において疎水性連鎖間の会合と親水性連鎖の水への微視的な溶解に伴うミクロ相分離によって様々な形態のミセル状組織体を形成する。ミセル組織の形態、構造、及び性質は疎水基会合が多分子的に起こるか単分子的に起こるかによって異なり、それらは溶媒組成、濃度、温度などの条件にも影響されるが、高分子の化学構造に大きく依存する。ランダム共重合体の場合、疎水基会合が多分子的に起こると組織は無制限に大きくなり相分離やゲル化を引き起こすが、会合が分子内のみに限られると単一高分子ミセル(ユニマ-ミセル)が形成される。一般に、希薄水溶液中においてユニマ-ミセルを形成する場合でも、濃度増加に従って分子間会合へと変化する。しかし、以下に述べる両親媒性ランダム共重合体は高濃度領域においても分子内会合が優先し、濃度に関係なくユニマ-ミセルを形成することを見い出した。 ドデシル基、シクロドデシル基、アダマンチル基、ナフチル基などのかさ高い疎水基でN-位を置換したメタクリルアミドと2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(AMPS)との共重合体は水溶液中において完全に分子内のみで自己組織化を引き起こすことが明かになった。疎水基含量が10-30mol%になるとセグメント電荷反発に打ち勝って近接疎水基間で会合が起こり、分子鎖に沿ってミセル単位(花型ミセル)が幾つもできるが、疎水基含量が40mol%以上になるとこれらのミセル単位どうしが2次的に会合し、高次構造からなるユニマ-ミセルを形成することが分かった。この高次ユニマ-ミセルは極めてコンパクトなナノ組織体であり、分子量のわりにはサイズが小さい。例えば、シクロドデシル基を50mol%含むコポリマーの場合、重量平均分子量は5.2×10^5であるが、動的光散乱法(DLS)により測定したストークス直径は約11nmと極めて小さいことが判明した。
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