全体としては電荷を持たない両イオン性ミセルに、界面活性陰イオンを可溶化して電荷を変化させ、トレーサー拡散係数および相互拡散係数を測定した。また、ピレンの蛍光減衰からミセルの会合数を求めた。ミセルのトレーサー拡散係数は電荷の増大とともに減少し、界面活性陰イオンを可溶化によるミセルサイズの増大とミセル-媒体間の静電的相互作用との両方に基因することがわかった。相互拡散係数は界面活性陰イオンを可溶化により大きく増大し、従来知られているイオン性界面活性剤の場合と異なり、臨界ミセル濃度以上で濃度の増大とともに増大しないという結果が得られた。 イオン性ホスフィン誘導体に保護された金の二殻クラスターのトレーサー拡散係数に対するイオン強度の影響を検討した。水溶液中でのサイズを求め、イオン強度の低いところでは静電的相互作用のために拡散係数が減少することがわかった。 負電荷を持つベシクル溶液系で、無電荷および陽イオン性ポルフィリンの陽イオン性消光剤による消光反応速度を測定した。陰イオン性ベシクル表面でも陽イオン間の電荷反発の寄与のあることがわかった。 ミセル状態および液晶状態の分子集合体を高分子化することを試みた。現段階では重合度が低く、更に検討中である。
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