研究課題/領域番号 |
08249103
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
木村 栄一 広島大学, 医学部, 教授 (30034010)
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研究分担者 |
石浜 明 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 教授 (80019869)
塩谷 光彦 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (60187333)
杉浦 幸雄 京都大学, 化学研究所, 教授 (40025698)
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キーワード | 大環状ポリアミン / 人工β-cヌクレオチド / 亜鉛錯体 / 亜鉛フィンガー / 塩基配列認識 / プロモーターDNA / TATAボックス / RNAポリメラーゼ |
研究概要 |
遺伝子発現制御は、外からの情報伝達→遺伝子転写活性化→遺伝子転写→翻訳→蛋白合成→機能発現という一連の過程、或いは各々のそれらに付随する様々な過程で行われる。主として、(i)新たな機能性金属錯体をデザインし、人工的な遺伝子発現制御小分子の創造、および(ii)金属酵素(例えばRNAポリメラーゼ)と核酸の相互作用等々が我々の研究課題である。 1. 核酸-合成金属錯体相互作用の研究: E.Coliプラスミド中の(T含有の多い)150base pairsをat randomに選び、その5'または3'末端を^<35>Pでラベル化し、Zn^<2+>-cyclen錯体のDNA接触部をDNAseIおよびmicrococal nuclease footprintにより決定した。T選択的接触が明らかとなった。更に、Zn^<2+>-cyclen錯体は、DNA TATA boxに選択的にくっつき、転写因子TFIIDの活性を抑え、遺伝子発現制御分子となることが明らかになった。(木村) 金属錯形成を通じて、2本鎖構造を形成する人工DNAの合成を目的として、o-phenylemediamine,o-aminophenol,又はcatecholを塩基部分として持つ3種のキレート型人工β-c-ヌクレオチド合成を行った。更に、これらを天然オリゴヌクレオチドに導入しつつある。(塩谷) 2. 核酸-蛋白相互作用に関する研究: Zn-finger(転写因子)のCyS_2-His_2型亜鉛配位構造を用いて新たな人工Zn-fingerを合成し、DNAの18および27塩基配列を認識する小分子を創造した。このような新分子は、二十一世紀の遺伝子治療への貢献が期待される。(杉浦) Feb^<2+>EDTAを大腸菌RNAポリメラーゼの特定部位に共有結合させ、接触相手の蛋白やDNA接触依存的に切断する方法を開発、展開した。RNAポリメラーゼを構成するサブユニット間の接点、転写因子との接点、RNAポリメラーゼとプロモーターDNAの接点を固定した。本研究は、転写制御研究にとどまらず、あらゆる生体反応における分子間相互作用の実態解明に大きく貢献しよう。(石浜)
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