研究課題/領域番号 |
08249106
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
北川 禎三 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (40029955)
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研究分担者 |
茂木 立志 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (90219965)
高妻 孝光 茨城大学, 理学部, 助教授 (50215183)
柏木 浩 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (10000853)
成田 吉徳 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (00108979)
吉川 信也 姫路工業大学, 理学部, 教授 (40068119)
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キーワード | チトクロム酸化酵素 / 電子伝達 / プロトンポンプ / 末端酸化酵素 / 生体エネルギー変換 / 金属タンパク質 / 共鳴ラマン / 光合成反応中心タンパク複合体 |
研究概要 |
本特定領域研究がスタートして約3年がたとうとしている。そのスタート時から動物呼吸系と光合成反応中心におけるエネルギー変換を集中的に取り上げ研究を進めてきた。吉川はウシ心筋チトクロムc酸化酵素酸化形のX線結晶解析に成功して世界を驚かせたが、本年は完全還元形、アジド結合系、一酸化炭素結合形を各々2.35、2.9、2.8A分解能の構造解析に成功した。良い結晶を作成することによって分解能を高め、プロトンポンプの経路の解明という最終目標に近づきつつある。北川は同酵素の活性部位におけるO_2還元反応中間体を時間分解共鳴ラマン分光法で検出して、電子移動毎に変わるヘムa_3・酸素の構造を明らかにしてきた。本年は赤外吸収法により、ヘムa_3のリガンド脱離に伴うアミノ酸側鎖カルボキシル基の脱プロトン化を時間分解スペクトルに見つけ、プロトンポンプ機構の解明に一歩近づいた。成田はヘムa_3-銅活性部位の化学構築とその反応性を明らかにする研究を展開しつつある。堀はEPR、ENDORを中心手法として本特定領域研究の多くの班員と共同研究を進め、金属部位の配位構造を明らかにしている。茂木は大腸菌の末端酸化酵素であるキノールオキシダーゼの分子生物学的研究を展開しつつあり、アミノ酸の人工置換がCu_Bの維持、プロトンポンプ能、酸素還元機構に与える影響を明らかにしてきた。柏木は密度汎関数法を用いて蛋白の全電子の非経験的分子軌道を理論計算し、蛋白中の電子移動機構の説明にブレークスルーをつくった。高妻は銅タンパクの電子移動について分子科学的研究を展開した。一方、光合成バクテリアの光合成反応中心において電子移動をプロトン輸送に切り替えるキノンについて、北川はその共鳴ラマンスペクトルの測定に初めて成功し、キノンの振動スペクトルを調べる道を開いた。またProton Coupled Electron Transferと題する日米セミナーを北川が本年度に実施した。
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