研究概要 |
(1)C1資化性脱窒菌Hyphomicrobium sp.からの新奇な亜硝酸還元酵素の性質 メタノールやメチルアミンなどの炭素原子1個を含む有機物を炭素源とし、同時に脱窒によりATPを獲得する菌体、C1資化性脱窒菌Hyphomicrobium sp.A3151からの亜硝酸還元酵素を単離して、各種分光学的性質やその電子供与タンパク質を検討した。この亜硝酸還元酵素は酸性タンパク質で、分子量4.9万のサブユニット4つからなる。酵素は青色で、その可視吸収スペクトルは456nm(ε=1,500)と605nm(ε=2,600M^<-1>cm^<-1>)に吸収帯を示しており、今までに報告されているものと全く異なるものであった。EPRがタイプ1銅と2銅の存在を示している点は、一連の銅型亜硝酸還元酵素に見られる特徴と同じである。従って、本酵素の新奇な点は、タイプ1銅の配位子(2His,Cys,Metと考えられる)の種類ではなく、構造が異なるところにあると結論された。 (2)銅型亜硝酸還元酵素の電子供与体、シュウドアズリンの変異体の作成 脱窒菌Achromobacter cycloclastes IAM 1013からの亜硝酸還元酵素と電子供与体であるシュウドアズリンとの相互作用を検討するために、シュウドアズリンの変異体を作成した。シュウドアズリンのブルー銅には、His40、His81、Cys78、Met86が配位しており、銅は歪んだ四面体構造である。また、Cys78の一つ隣にはLys77が結合して、この部位が酵素との相互作用および電子移動反応に関与している可能性がある。そこで、そのLys77をHisに置換して変異体(Lys77His)およびMet86をGlnに置換した変異体(Met86Gln)を、大腸菌を用いて発現することができた。現在、Lys77Hisを多量に得て分光学的測定を完了したところである。
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