研究課題/領域番号 |
08249238
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山中 建生 日本大学, 理工学部, 教授 (40028113)
|
研究分担者 |
庄子 和夫 日本大学, 理工学部, 助手 (50267019)
|
キーワード | シトクロムcオキシダーゼ / ATP / プロトンポンプ活性 / シトクロムa_3 / シトクロムaa_3 / 硫黄酸化細菌 / Thiobacillus novellus |
研究概要 |
硫黄酸化細菌Thiobacillus novellusのチトクロムcオキシダーゼは、2種類のサブユニット各1分子からなる最小構造単位に1分子のヘムaと1原子の銅をもつ。この酵素は、界面活性剤としてオクチルチオグルコシドが存在すると、この構造単位の単量体として存在するが、ツイーン20が存在するとこの単位の2量体として存在する。単量体は中に含まれる全ヘムaが一酸化炭素と反応するのでチトクロムa_3であり、2量体は含まれるヘムaの半分が一酸化炭素と反応するのでチトクロムaa_3である。また、この酵素によるチトクロムc酸化反応において、その[S]-v曲線は2量体に関してはシグモイドであり、単量体に関しては双曲線である。2量体によるシグモイドは、ATPの添加により双曲線になり、さらにアピラーゼをくわえてATPを分解すると再びシグモイドになる。 分子量の測定によっても、2量体の酵素にATPを加えると単量体になることが分かった。また、2量体はCO結合物の2次微分スペクトルが、チトクロムa成分に特有な452nmの谷をしめすが、これにATPを加えるとこの谷が消える。さらに、2量体の[還元型]-[還元型+ATP]差スペクトルは445nmと600nmに山を示し、ATPの添加によってチトクロムa成分が消えたことを示す。すなわち、ATPによってチトクロムaa_3とチトクロムa_3の変換が起こる。つまり、この酵素の分子形態および活性はATPによって制御されるのである。予備的な実験によると、2量体はプロトンポンプ活性を示すが、単量体はこの活性を示さない。この活性はATPの生合成に関係あるので、この酵素のATPによる制御は生理的に意義のあるものである。
|