FIZ-F1(BmFTZ-F1)による転写活性化に働く転写mediatorであるMBF1とMBF2の作用機作を探るため、MBF1とMBF2のドメイン解析をおこなった。MBF2のC未満の23アミノ酸を欠くと、TFIIAとの結合能は保持されたが、MBF2との結合能は消失した。このMBF2を用いて、iv vitroでの転写活性能を調べたところ、FTZ-F1依存性の選択的な転写活性化は観察されなかったが、非選択的な転写活性化は観察され、MBF2のMBF1への結合が選択的転写活性化に必要であるという従来のモデルを支持した。MBF1についても部分欠失蛋白を作成し、MBF2、FTZ-F1、TBPとの相互作用を調べたところ、これらすべての因子との相互作用に中央部が大きく貢献しているが、N末端領域とC末端領域も相互作用に関与することを示唆する結果を得た。 MBF1は、FTZ-F1 boxを介してFTZ-F1と相互作用することから、FTZ-F1 boxとbasic領域でホモロジーのある酵母のGCN4にMBF1が相互作用し、GCN4による転写活性化にMBF1がかかわることが、予想された。そこで、酵母MBF1をクローニングし、大腸菌で発現させ、GCN4との相互作用を調べたところ、FTZ-F1と同様の相互作用が観察された。また、GCN4の塩基性領域にアミノ酸置換を生じた変異蛋白を作成したところ、MBF1との相互作用が消失し、MBF1は、GCN4のbasic領域を介して相互作用すると考えられた。次に、MBF1の欠失株を作成したところ、aminotriazoleに感受性を示し、酵母生体内でのGCN4による転写活性化にMBF1が重要な役割をになっていることが示唆された。
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