研究概要 |
左右非対称に発現するTGFβ関連遺伝子leftyを糸口として、哺乳類における左右の決定機構を解析した。1)マウスにおいては二つの保存された遺伝子(lefty-1,lefty-2)が存在し、同一染色体上に近接して存在し、それぞれ異なった組織で非対称な発現を示す事が判った。2)lefty-1,lefty-2の役割を知るため、各々を欠損する変異マウスを作製した。lefty-2欠損マウスの形質を解析したところ、多くの臓器の位置異常が認められ、少なくともlefty-1は身体の左右の決定に置いて必須の因子であることが判明した。3)Lefty蛋白質の作用機構を知るために、この蛋白質の活性をアッセイできる系の確立を試みた。その結果、カエル胚へ導入する事により神経誘導・二次軸誘導の活性を示した。このバイオアッセイ系は、今後Lefty蛋白質の作用機構を解析するための良い系であることが判明した。4)lefty-1,lefty-2遺伝子の転写調節領域をトンラスジェニックマウスの系を用いて解析し、左右非対称な発現を規定しているcis-elementを同定した。それらのcis-elementを約200-300bp以内に狭める事ができた。5)ヒトのlefty遺伝子を単離・解析した結果、複数の遺伝子が存在することが判った。
|