研究課題/領域番号 |
08255107
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
淡路 剛久 立教大学, 法学部, 教授 (90062653)
|
研究分担者 |
伊達 規子 群馬大学, 社会情報学部, 講師 (00261826)
加藤 峰夫 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (20214405)
大塚 直 学習院大学, 法学部, 教授 (90143346)
|
キーワード | 地球温暖化 / 温室効果ガス / 地球温暖化防止の法的戦略 / (国連)気候変動枠組条約 / 法的手法 |
研究概要 |
1 本研究は、一般的環境負担型ともいうべき地球温暖化問題を扱うものである。 2 研究の枠組み。(1)国際的に合意された政策目標-(1)温室効果ガスの2000年における1990年レベルの安定化、今後については、(2)2000年以降における温室効果ガス削減のための国際的枠組みづくり、(3)一律削減目標の数値の明確化、(4)削減のための政策措置の明確化-を国内レベルで実施する法的手法(包括手法と個別手法)の評価を行う。(2)国内レベルでも、受益と負担との関係を直接にあらわすことができず、原因と負担との関係も個別的には希薄なので、負担の配分の問題としてとらえられる。したがって、その対策にかかわる関係主体の同意調達のあり方とその裏面としての正当性の論証が問題になる。(3)包括手法には、(1)単独立法・法規的命令型、(2)法規的計画型、(3)計画型がある。個別手法には、(1)権利を制限し義務を課すタイプ、(2)温暖化防止目的に適合する料金設定を義務づけ、あるいは誘導するタイプ。(3)温暖化防止目的に適合する施設への規制を緩和するタイプ、(4)温室効果ガス削減努力の奨励タイプ、(5)助成措置タイプがある。 3 関係主体の調査。(1)国-(1)地球温暖化防止行動計画(1990年10月閣議決定)(2)国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取組みの率先実行のための行動計画(1995年6月閣議決定)(3)各省の取組、(2)産業界-(1)経済団体連合会(経団連)の「経団連地球環境憲章」(1991年4月)、(2)経団連の「経団連環境アピール」(1996年7月)、(3)地球環境憲章および環境アッピ-ルを受けて実施され、あるいは検討が進められている各産業界の具体的活動状況(1996年12月)、(3)自治体-滋賀県、兵庫県、東京都、神奈川県、などを調査した。 4 中間的な結論。(1)現状の国の政策は法的目標を達成するためには、不十分。(2)法的目標を達成するためには、包括手法として、最低限、法規的計画、個別手法として、政策措置の体系が必要。(2)国の様々な施策が、(1)の計画化された政策的措置に適合するかどうかをアセスする仕組みが必要(包括的手法)。大規模あるいは大量の排出源を有する自治体も、同様の政策を導入することができる。(2)単独立法としては、基本的に手続的手法が、同意の調達が得られやすいこと、対策の進行管理をしやすいこと、科学的知見の充実、変化などに対応できること、などから適合的、手続法のあり方は、地球温暖化を防止することを目的とする何らかの実体法的規定と各政策をその視点からアセスメントする横断条項、すなわち手続法的規定によって組み立てられる。
|