研究概要 |
本研究では、第一にマメ科植物でトランスポゾンタギングを行うため、ミヤコグサ(L.jiaponicus Gifustrain)とMedicago trancaturaを用いて実験を行った。ミヤコグサではDs導入株1株を得たが、形質転換される率は大変低いものであった。M.truncatulaではさまざまな培地組成を検討したにもかかわらず形質転換株は得られなかった。一般にマメ科植物は形質転換が困難であると言われている。そこで、ミヤコグサを用いて無菌植物の芽生えに直接Agrobacteriumを感染させる方法およびパーティクルガンを用いた方法でAc,Dsの導入を試みている。予備的実験の結果、ミヤコグサでは、Agrobacteriumを感染させない状態でのカルスからのシュート形成率は19.4%であった。この値は、他のマメ科植物と比較して著しく高い値であり、ミヤコグサにおいてAc,Dsの導入効率の低さはAgrobacteriumの感染の低さに起因していることが明らかとなった。次に、ダイズのいわゆるスーパーノジュレーション変異(nts382)を用いて、ディファレンシャルディスプレイ法でnts遺伝子を選び出すことを試みた。結果、ディスプレイにおいて、発現に違いが見られた5クローンを配列解読後、ノーザン解析を試みたが、親株と変異株に発現の差は見られず、目的の遺伝子は得られなかった。第三に、根粒菌によって生合成される植物に根粒を誘導する引金分子であるNodファクターの有機合成を試み、従来の合成法を改良し、高い収量で合成する方法を確立した。第四に、根粒形成の初期に発現が調節されている遺伝子について、根粒形成場所が特定できる植物であるセスバニアを用いてディスプレイ法で遺伝子をスクリーニングした。結果、8個の候補遺伝子をクローニングし、塩基配列を解読した。これらの発現については分析中である。
|