研究課題/領域番号 |
08255241
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
前田 滋 鹿児島大学, 工学部, 教授 (90041566)
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研究分担者 |
中島 常憲 鹿児島大学, 工学部, 教務職員 (70284908)
大木 章 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (20127989)
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キーワード | アンチモン / クロレラ / ミジンコ / 生物濃縮 / 生体内変換 / 毒性 / 解毒 |
研究概要 |
本研究ではアンチモンの環境中の挙動と影響について研究した。我が国ではアンチモンは難燃助剤(Sb_2O_3)として年間約12000トン使用されている。アンチモン(Sb)の急性毒性(LD_<50>)はヒ素等に比べてかなり小さいと考えられていたが、慢性毒性評価を重視した近年の汚染物質評価では、この順位は逆転した。1993年12月1日に施行された水道水質基準では、要監視項目という区分ながら、水環境指針値および水道水質基準値は、0.002mg/ιという最も厳しい基準(ヒ素は0.01mg/ι)が設けられた。 本研究では微細藻類に取り込まれたアンチモン化合物が細胞内のどのような成分と結合しているかを、ゲルクロマトグラフを用いて研究した。アンチモンと結合しているタンパク質を分離し、分子量分画した後、得られた分画のアンチモン濃度を測定した。アンチモン暴露クロレラ細胞中の可溶化タンパク質の低分子量分画分(MW:約3万)中にアンチモンが検出された。このアンチモン結合可溶化タンパク質を分取し、金属結合タンパク質の種類やアミノ酸組成を調べた。その結果、アンチモン結合可溶化タンパク質中のシステイン含量が異常に増加することが分かった。著者のこれまでの研究から、ヒ素暴露ではシステイン含量の増加は見られなかったが、アンチモン暴露によってメタロチオネイン様のタンパク質が誘導され毒性金属の無毒化が行われていることが明らかになった。 またこのほかアンチモン化合物を濃縮した微細藻顆を、ミジンコに与え、このミジンコを餌にしてグッピ-またはエビを飼育した。この3段階の食物連鎖において、生体内への蓄積金属の濃度の変化、化学形の変化を追跡し、アンチモンの毒性と取り込み挙動が明らかになった。これらを利用して環境中のアンチモンの除去と解毒の可能性が見出された。
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