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1996 年度 実績報告書

ニューロンの生死の制御機構に関する分子細胞生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08256201
研究機関北海道大学

研究代表者

野村 靖幸  北海道大学, 薬学部, 教授 (00034041)

キーワードmitric oxide / GAPDH / koningic acid / neuron / adoptosis / DNA fragmentation / APP / Huntingtin
研究概要

多量のNOは神経細胞死を引き起こすことが知られているが、その機序については不明な点が多い。いくつかの標的蛋白質が同定されており、その中でグリセロール-3ーリン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)が知られている。本酵素は解糖系に存在し、エネルギー産生に関して重要な役割を担っている。近年、これ以外にもRNA結合活性や蛋白質合成にも関与していることが明らかにされている。そこで、NOによるニューロン死におけるGAPDHの関与について、NG108-15細胞を用いて検討し、以下の知見を得た。NOドナーであるSodium nitroprusside (SNP)はNG108-15細胞を死に至らしめるが、乳酸デヒドロゲナーゼ漏出、DNA断片化やクロマチン凝縮などがみられたことから、この細胞死はアポトーシス様であることが示唆された。このとき、SNPはGAPDH活性を濃度依存的に抑制していることを確認した。つぎに、GAPDHの特異的阻害薬であるkoningic acid (KA)をNG108-15細胞に処理すると、SNPと同様にGAPDH活性の抑制とともに細胞死が引き起こされた。この細胞死にもDNA断片化やクロマチン凝縮がみられたことから、アポトーシス様であることが示唆された。以上の結果より、NG108-15細胞においてNOはアポトーシス様の細胞死を惹起するが、この作用機構の一部にGAPDHが関与していることが示唆された。GAPDHはアルツハイマー病への関与が示唆されているamyloid precursor protein (APP)に結合する可能性が報告されており、エネルギー産生系ばかりでなく他の活性も細胞の生存あるいは死にとって重要であることが推定された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Takashi Arima: "Kyotorphin (L-tyrosyl-arginine) as a possible substrate for inducible nitric oxide synthase in rat glial cells." Neuroscience Letters. 212. 1-4 (1996)

  • [文献書誌] Yasuhiro Itano: "Regulation of Bcl-1 protein expression in human neuroblastoma SHSY-5Y cells : positive and negative effects of protein kinase C and A, respectively." Journal of Neurochemistry. 67. 131-137 (1996)

  • [文献書誌] Yasuyuki Nomura: "Neuronal apoptosis by glial NO : Involvement of inhibition of glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase." Human Cell. 9. 205-214 (1996)

  • [文献書誌] 野村 靖幸: "神経細胞のアポトーシスとBel-2発現" 神経研究の進歩. 40. 263-271 (1996)

  • [文献書誌] 野村 靖幸: "代謝より見た脳の老化-ニューロン死とシナプス伝達低下" 北海道医学雑誌. 71. 309-314 (1996)

  • [文献書誌] 野村 靖幸: "神経系における細胞間、細胞内情報伝達系の最新の知見" 最新医学. 51. 1218-1228 (1996)

  • [文献書誌] 野村 靖幸: "医学のあゆみ 別冊「NOのすべて」脳グリアiNOSの発現調節機構" 医歯薬出版, 5 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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