研究課題/領域番号 |
08256227
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
松原 和夫 島根医科大学, 医学部, 助教授 (20127533)
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研究分担者 |
井津 智子 島根医科大学, 医学部, 助手 (80263515)
木村 恒二郎 島根医科大学, 医学部, 教授 (30153191)
小林 祥泰 島根医科大学, 医学部, 教授 (00118811)
小林 裕太 島根医科大学, 医学部, 助教授 (40162028)
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キーワード | パーキンソン病 / β-カルボリン / マウスモデル / ドーパミン細胞 / カテコラミン / 運動能 |
研究概要 |
β-Carbolineによるパーキンソニズムモデルの作成とその毒性経路がN-メチル化を介するものであるかを、Norharman(NH)、9-MeNH及び2-MeNHをC57Blackマウスに1日2回7日間投与することによって検討した。最終投与より2日間休薬後、自発運動量・運動能の測定及びチロシン水酸化酵素(TH)染色による組織学的検討を行った。更に、休薬3日後における脳各部位のモノアミン含量を測定した。また、活性化体である2,9-Me2NHの脳内生成量を測定した。確認のため、マイクロダイアリシスによる各化合物の脳血液関門の透過性についても検討を行った。運動能はいずれの化合物によっても低下し、9-MeNH投与群に最も強く認められた。脳内アミンの変化は、NH及び2-MeNH投与群では中脳及び線条体におけるdopamine(DA)とその代謝物の低下が著明であった。しかし、9-MeNH投与群では、その毒性の部位特異性及びDA神経特異性は低下した。脳内の活性化体の生成量は、9-MeNH投与群で著しく高く2-MeNH投与群の約8倍量であり、2-MeNH投与群ではNH投与群の約1.7倍であった。このことは、in vivoでは9位のメチル化が活性化体生成の律速ステップであることを示唆した。また、この生成量の結果は、運動能・モノアミン含量・TH陽性細胞の低下と一致した。従って、pro-toxinであるsimple β-carbolineは、N-メチル化を受け活性化体である2,9-Me2NHとなってDA神経毒性を発現するとを実証した。また、中脳初代培養細胞を用いた場合、2,9-Me2NHのDA神経選択的な毒性は低濃度の狭い範囲内である。このことは、9-MeNH投与群には過剰の活性体が生成したため、その毒性が非選択的となって発現したことを示唆するもの考えられる。
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