研究課題/領域番号 |
08258221
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹下 彰 九州大学, 医学部, 教授 (30038814)
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研究分担者 |
吉田 恭子 (今中 恭子) 三重大学, 医学部, 助手 (00242967)
田川 博章 九州大学, 医学部, 医員
上野 光 九州大学, 医学部, 講師 (50260378)
筒井 裕之 九州大学, 医学部, 講師 (70264017)
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キーワード | 心不全 / 心筋細胞 / 収縮能 / サルコメア / 筋小胞体 / Ca^<2+> / カルセクエストリン / ノーザンブロット |
研究概要 |
本研究では、細胞内Ca^<2+>濃度を調節することにより心筋の収縮・弛緩を制御している筋小胞体(SR)Ca^<2+>制御蛋白の遺伝子発現量と同一心より単離した心筋細胞の収縮能とを対比することにより、SR Ca^<2+>制御蛋白の収縮不全における役割を検討した。 (1)心筋細胞収縮機能:雑種成犬に右室頻拍ペーシング(240/分、4週間)を行うと、左室拡張末期圧の上昇、左室径の増大および左室駆出率の低下をみとめた。不全心から単離した心筋細胞のサルコメア短縮および短縮速度は正常心筋細胞に比し有意に低下した。左室と細胞レベルの収縮能はよく相関し、収縮不全の原因として心筋細胞自体の障害が重要と考えられた。 (2)SR Ca^<2+>制御蛋白の遺伝子発現:同一心筋よりRNAを抽出し、ノーザンブロット法によりSR Ca^<2+>ATPase(SERCA)およびカルセクエストリンmRNAの発現量を測定すると、不全心のSERCA mRNAは、正常心の53%に低下した。一方、カルセクエストリンmRNAは不全心で2.3倍に増加した。正常および不全心筋細胞においてサルコメア短縮速度とSERCA mRNA発現量との間には有意の正相関(r=0.79)をみとめた。 (3)SERCA選択的阻害薬の効果:正常心筋細胞のサルコメア短縮および短縮速度は、thapsigarginおよびcyclopiazonic acidにより濃度依存的に低下した。 以上より、SERCAの発現の低下は心筋収縮不全に密接に関与していることが示唆された。
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