研究概要 |
出芽酵母およびショウジョウバエのseptinは収縮輪に局在するフィラメントの構成成分であり、その機能喪失型変異体は不完全な細胞質分裂により多核化することが知られている。 研究代表者らは、本研究課題において、 1)マウス胚神経系で高発現する遺伝子としてcDNAサブトラクション法により単離したNedd5が、septinファミリーに属し、特徴的なGTPaseドメインを有する41.5kDの蛋白をコードすることを示した。 2)Nedd5がヒトおよびマウス細胞の収縮輪に局在し、抗Nedd5抗体の微小注入によりヒト癌細胞HeLaの細胞質分裂を阻害することを示した。 3)Nedd5‐green fluorescent protein融合蛋白がanaphaseにおいて赤道部に帯状に局在し、細胞質分裂期に収縮輪近傍に濃縮し、さらにはmidbodyに局在することを、HeLa細胞における連続観察で確認した。 GTPaseドメインに変異を導入し、GTP結合活性を欠くNedd5は、HeLa細胞において正常に局在しないのみならず、内在性Nedd5の分布も阻害することを示した。 5)細胞質分裂において重要なアクチンやRhoと相互作用する可能性を探るため、これらの特異的阻害剤cytochalasin DまたはC3 toxinをHeLa細胞に作用させると、Nedd5が不規則に凝集するとともに、細胞質分裂が停止することを示した。 以上より研究代表者らは、哺乳動物細胞の細胞質分裂におけるseptin、Nedd5の重要性を明らかにするとともに、分裂間期におけるNedd5に関しても興味深い知見を得た(投稿中Kinoshita et al. : A mammalian septin,Nedd5,is a novel cytoskeletal component interacting with rhoactin system.)。
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