研究概要 |
1.GATA転写因子のリン酸化部位の同定 GATA-1のSer26とSer178がMAPキナーゼのリン酸化部位であることを合成ペプチドを用いたin vitro kination assayにて確認した。 2.GATA転写因子のリン酸化の機能 GATA-1の変異体とMAPキナーゼ・キナーゼ変異体のそれぞれの発現ベクターをCOS細胞の中に供発現させMAPキナーゼによるリン酸化によってはDNA結合能およびレポーター遺伝子を用いた転写活性能には有意差を認めなかった。 GATA-2に関しては、今までそのnatural targetがErythropoietin Promoterを除いてはほとんど解明されていなかったが、我々はHIVのlong terminal repeat(LTR)の中にGATAsiteが存在し実際に造血前駆細胞のなかでGATA-2が結合し転写活性を誘導することを見い出した。このnatural targetを用いてGATA-2とMAPキナーゼ・キナーゼ変異体の発現ベクターをCOS細胞の中に供発現させMAPキナーゼによるリン酸化によってGATA-2による転写活性能がdownregulateされることを見い出した。(第一回造血幹細胞シンポジウム 1996東京、にて発表)一方、最近我々はTwo hybrid SystemによりGATA-2と結合する未知の蛋白を同定した(未発表)。将来的にはこの蛋白と結合能にリン酸化がどのように関与しているかについても検討する予定である。 3.サイトカイン刺激によるGATA転写因子のリン酸化の意義 サイトカイン依存性の白血病細胞株BAF3細胞とmurine Epo receptorを導入した細胞を樹立して種々のサイトカイン刺激試験を施行した。その結果、IL-3,Steel Factor,Epo刺激によりMAPキナーゼ経路が活性化された際にGATA-2のリン酸化が認められ、増殖刺激におけるシグナル反応におけるGATA-2の役割の重要性が確認された。
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