ES細胞は、in vivo、in vitroにおいて血球系細胞に分化することが知られている。op/opマウス由来の骨髄繊維芽細胞株OP-9を支持細胞としてES細胞を血球系細胞へと分化させる系が樹立されている。また、コラーゲンをコートしたディッシュ上で培養すると、ES細胞は高率に血球系・血管系の分化マーカーであるflkを発現するようになる。この2つの系を中心にして、ES細胞分化に関連する未知遺伝子の単離を試みた。 トラップベクターはEn-2イントロンの下流にスプライシングの受容シグナル、翻訳活性を上げるためのIRESシグナル、およびLacZをマーカー遺伝子として配置、下流にはアクチンプロモーター下にネオマイシン耐性遺伝子を挿入したベクターである。このベクターをES細胞株であるD3およびE14-1細胞に導入して約4000個のES細胞クローンを樹立した。これらのクローンをプールしてOP-9上で培養し、8日目にX-gal染色を行う方法でスクリーニングした。LacZを発現する陽性細胞は非常に少なく同定は困難であったが、陽性と思われる細胞を選別後、cDNAライブラリーを作成し、クローンを同定した。 約10種類のcDNAの塩基配列を決定後、未知と思われるものをプローブにして成熟マウスの各組織での発現をノザン法にて解析したが、ある程度の組織特異性はみられるものの、造血系組織で特異的に発現しているクローンは得られなかった。今後、さらなる解析を行うとともに、新規のトラップクローンの樹立を試みる。
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