研究概要 |
1.胚のサイズを変更する多数の突然変異(小胚突然変異及び巨大胚突然変異)を詳細に解析したところ、いずれの突然変異も胚乳の発達を制御する遺伝子の突然変異であり、胚のサイズ(メリステムのサイズ)は胚乳の発達程度により決定されることが明らかになった。また、これらの突然変異では、受粉後2-3日目のごく初期(細胞化の頃)に胚乳の異常が観察されるので、これらの遺伝子はごく初期に発現し、胚乳の発達を制御するものと考えられる。 2.これまでにシュート欠失突然変異として5遺伝子座に由来する10系統が得られている。幼根以外の部分が胚盤であるか否かを明らかにするために、α-amylase遺伝子をプローブとしてin situ hybridizationを行ったところ、上皮組織で明瞭なシグナルが得られた。従って、胚盤は正常に分化し、機能していることが明らかになった。突然変異種子からカルスを誘導し、再分化を試みたところ、非常に貧弱な葉は分化したが、シュートは全く分化しなかった。従って、これらの遺伝子は、シュートの分化を一般に制御していると考えられる。OSH1をプローブとしたin situ hybridizationの結果、sh11とsh12では発現パターンの異常が見られ、sh14,sh15では正常な発現パターンであった。従って、sh11とsh12はOSH1の上流で機能し、sh14,sh15はOSH1の下流あるいは独立に機能していると考えられる。 3.発芽後のシュートの形態異常を示す2種類の突然変異(シュートのオ-ガニゼーション全体の異常を示す変異体及び葉間期のみの異常を示す変異体)はいずれもシュートメリステムの形態異常を示すとともに、メリステムにおける細胞分裂の異常を示した。メリステムにおける細胞分裂の制御の異常がシュートの形態異常の原因の1つであると考えられる。
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