研究課題
(1)chmから生じたミトコンドリア変異体MDLの解析これまでに、アラビドプシスで斑入りを起こす核の劣性遺伝子chloroplast mutator (chm)の後代において、葉の形がいびつで弱小な変異体(Maternal distorted leaf : MDL)を見い出した。MDL個体の形質は、chm変異体を母親として戻し交雑して得られ、その形質は母性遺伝する。MDL個体では葉緑体ゲノムには変化(多型)見られないが、ミトコンドリアゲノムに顕著な変化が起きていることが明らかとなった。この変化は、ミトコンドリアリボソームタンパク質をコードする遺伝子rps3及びrpl16の発現に影響を及ぼしていた。これらの結果から、ミトコンドリアの変異とMDLに現れる形質との関連性が示唆された。本年度は、MDL変異体のミトコンドリアゲノムの変異の同定と、MDL特異的な転写産物の解析を行った。(2)ミトコンドリア遺伝子の発現に関わる核遺伝子の単離ミトコンドリア遺伝子の発現は、chmの例からも明らかなように、ミトコンドリア遺伝子そのものだけでなく、それらを統御する核の遺伝子発現に依存している。このようなミトコンドリアの制御遺伝子は、酵母では単離されているが、植物ではほとんど知られていない。そこで、酵母で単離された制御遺伝子を植物でも新たに単離し、それらの発現と植物器官形成との役割を調べるため、アラビドプシスのcDNA exoression libraryを用いて酵母のfunctional complemetationを試みた。酵母においてチトクローム酸化酵素の複合体形成に必要な2つの遺伝子ABC1及びOXA1の変異体を用いてcomplementationを行った結果、呼吸活性を回復させるアラビドプシスのcDNAを単離することができた。
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