高等植物原形質膜G蛋白質の構造に関する研究 1)ヘテロ3量体G蛋白質のβサブユニットと推定されるcDNAをイネより単離した。このcDNAを用いて、融合蛋白質を合成した後、特異抗体を調製した。この抗体と反応する産物(43kDa)は、原形質膜に局在していた。 2)一昨年単離したαサブユニットのcDNAを用い、融合蛋白質を調製した後、その酵素機能の検討を行った。αサブユニット融合蛋白質は、GTPaseおよびGTPγS結合能を有し、コレラ毒素によるADPリボシル化を受けた。このADPリボシル化は、イネミクロソーム画分の存在下で数十倍増加した。また、このαサブユニットに対する特異抗体が、原形質膜の45kDaポリペプチドを特異的に認識することを明らかにした。 マストパランを用いた高等植物原形質膜G蛋白質の機能に関する研究 ヘテロ3量体G蛋白質の活性化剤であるマストパランを、原形質膜画分、個体および培養細胞に投与して以下の知見を得た。 a)高等植物原形質膜画分のGTPase活性およびGTPγS結合能を増大させた。 b)分子量、45kDaのprotein kinaseの自己リン酸化能を増大した。 c)phenylalanine ammonia-lyase (PAL)遺伝子の転写産物が増大した。 phospholipase A2、phospholipase C、phospholipase D、カルシウムチャンネル、カリウムチャンネル等の活性およびH_2O_2の発生などに、3量体G蛋白質が関与することが示唆されているので、今後、これらの活性変動にマストパランが関与するか否かを計画している。
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