1)COP9複合体の解析 COP9タンパク質は核内にあってタンパク質の明所で650kDaの複合体として存在することがわかってきた。COP9タンパク質複合体をSDSゲル電気泳動によって分離した。構成するタンパク質は全部で12から14本あり、ほぼ等モルで存在することがわかった。その構成成分の各タンパク質のアミノ酸配列の決定を行った。その結果、50kDaと52kDaの二つのタンパク質からやはり光形態形成変異株として単離されているfus6変異株で変異に関連しているタンパク質のFUS6と同一の配列が求められた。このことからこの複合体は、実際、光による植物の形態形成に関係している複合体であることが示唆された。更にこの複合体は明暗で大きさが変化しており、暗所でより大きな複合体を形成することがわかってきた。このことは植物が明所と暗所で異なった形態形成をすることからこの明暗二つの条件でこの複合体に付加または遊離していく分子が形態形成に本質的に重要な因子となることが示唆された。 2)ホメオボックス遺伝子 COP1やCOP9複合体の下流にはどのようなタンパク質が関与しているかを解析するためにいくつかの変異株や遺伝子を用いて解析を行った。そのうちの一つにフィトクロームからのシグナル伝達にあると思われる遺伝子で動物のホメオボックス遺伝子と相同性のある遺伝子Athb-2遺伝子の発現を調べた。野性株のシロイヌナズナでは、Athb-2遺伝子は、暗所で発現がみられ、明所では、ほとんど発現していない。また近赤外光によって発現が増大することが知られている。またこれを過剰発現する形質転換植物では、胚軸の伸長が観察される。このようなことから光制御による胚軸の伸長にこの遺伝子が関与していることが示唆される。cop1変異株でこの遺伝子の発現を調べた結果、この遺伝子は変異株中でほとんど発現していないことがわかり、Athb-2遺伝子がCOP1遺伝子の下流に位置することが示唆された。
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