研究概要 |
全国の臨床医の協力の下に小児再生不良性貧血症39家系について末梢血リンパ球および皮膚線維芽細胞の染色体のマイトマイシン(MMC)感受性を指標としてファンコニ貧血性(FA)の確定診断をすると共に、リンパ芽球様細胞株および線維芽細胞株として凍結保存をしてきた。遺伝解析の結果、我が国のFA患者では、20才までの発がんリスクは15.5%であり、親の近親婚率から推定される患者の出生頻度は約128,000人に1人となる。また、ヘテロ接合体の集団頻度は約180人に1人と推定される。これらの結果は、米国における調査結果と近い値となっているMMC高感受性のFA家系22家系でFACC遺伝子のexon 1からexon 14とその隣接領域についてPCR‐SSCP‐塩基配列決定法で調べた結果、2家系(2/22)で患者と両親の一方にexon 1にA:T→C:Gのヘテロ接合性の突然変異が認められた。しかし、この突然変異はexon 1の非翻訳領域にあること、また同様の突然変異は正常集団(2/57)にも認められることから、多型性突然変異と考えられ、我が国のFA患者にはC群患者は存在したとしても極めて少ないと結論した。 また、ataxia telangiectasia(AT)8家系についてATM遺伝子の突然変異を、ATM cDNAをプローブとしてしらべた。その結果、1家系に異常が検出され、2人の姉弟とその母親に同じ異常が見られた。この異常はゲノム上では1.1kbの欠失で、mRNA上では約100bpの欠失であり、exon35の全欠失であると思われる。
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