研究課題/領域番号 |
08264234
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
菊地 正悟 順天堂大学, 医学部, 講師 (40224901)
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研究分担者 |
黒沢 美智子 順天堂大学, 医学部, 助手 (70245702)
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ / CagA / 胃がん / 早期がん / 進行がん / Diffuse type / Intestinal type / 血清疫学 |
研究概要 |
Helicobacter pyloriの毒素関連抗原(cytotoxin associated antigen)CagAと診断時年齢が40歳未満の胃がんの関係を血清疫学的に分析した。先行研究で抗H.pylori IgG抗体が陽性であった胃がん症例93例、入院対照41例、健診対照38例について、抗CagA IgG抗体を測定した。測定は精製された25.5k fragments recombinant CagAを用い、ELISA法によった。カット・オフはWestern blot陰性の30人の血清で平均+2×標準偏差(血清抗CagA抗体価8)以上を陽性とした。 このデータを分析した結果、次のことが明らかとなった。 (1)H.pylori陽性者の間では、CagAは胃がんのリスクと関連しなかった。 (2)H.pylori陽性者の間では、血清抗CagA抗体価は胃がんのリスクと関連しなかった。 (3)男女別、胃がんの進行度別(早期がん、進行がん)、組織型別(Diffuse type、Intestinal type)に分析しても、H.pylori陽性者の間では、CagAは胃がんのリスクと関連しなかった。 (4)CagA陽性のH.pyloriと陰性のH.pyloriとも胃がんのリスクと有意な関連を認めた。 本研究の胃がん症例は、85%がdiffuse typeであるので、diffuse typeの若年胃がんに関しては、CagAはリスクと関係しないと結論できる。例数が少なかったintestinal typeの胃がんに関して結論的なことはいえないが、本研究の結果には、CagAとintestinal typeの胃がんの関連を示すものは全く認められなかった。本研究と他の研究の結果が異ならないdiffuse typeの胃がんに関しては、H.pyloriはリスクと関連し、その関連の程度はCagAの有無で差がないと結論できるが、intestinal typeに関しては、他の研究とは結果が異なった。
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