t(2;5)染色体転座を認めたALCLの一症例で転座点をはさむ2.6kbのキメラcDNA(NPM/ALK)によってコードされるチロシン残基がリン酸化されたp80タンパクを同定し、この腫瘍株では高発現していることを明らかにした。 このキメラcDNAを発現ベクターに組み込んでNIH3T3細胞にトランスフォームするとフォーカスを形成すること、またnucleophosmin部分を欠いたconstructではトランスフォーム活性を示さないことから、p80のin vitroにおけるトランスフォーム能にNPM部分は必須であることを示した。 p80はインシュリンレセプターファミリーのLtkとキナーゼドメインで高いホモロジーをもつが膜貫通ドメインを欠き、その部分にnucleophosminが転座している。p80をCOS細胞に発現させて抗p80抗体で染色するとcytoplasmに局在していることもわかった。 ALCL105症例の30%にRT-PCRでキメラcDNAが確認され、免疫染色ではp80陽性であった。p80陽性群は若年発症例に多く5年生存率の比較では予後が良いことも明らかになった。
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