研究課題/領域番号 |
08266214
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
成内 秀雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012741)
|
研究分担者 |
加藤 琢磨 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60224515)
善本 隆之 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80202406)
|
キーワード | IL-12 / 遺伝子導入 / トランスジェニックマウス / Fas-FasL反応 / 細胞傷害性T細胞 |
研究概要 |
レトロウイルスベクターpLXSNを用いてIL-12p35とp40遺伝子をB16メラノーマに導入し、発現を確認した後マウスに移植し、その腫瘍発育を観察した。遺伝子を導入された腫瘍細胞はマウスの中で発育することなく排除されたが、対照として用いたneo遺伝子導入腫瘍はよく発育しマウスは腫瘍死した。このIL-12による抗腫瘍作用をおけるCD8T細胞の役割、特にFas-FasLの役割を検討するために、ヒトリンフォーマ細胞株WR19LにマウスFasを発現させマウスCD8による細胞傷害作用に対するIL-12の効果を測定した。その結果IL-12はCD8T細胞のFasリガンド発現を増強させ、結果としてCD8T細胞の細胞傷害作用を増強することが分かった。次に、in vivoの抗腫瘍効果に及ぼすIL-12の作用を検討した。IL-12はp40とp35からなるヘテロダイマーであるが、p40はIL-12の作用を阻害することがin vitroの実験で報告されている。そこで、p40を発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作成した。このマウスは血清中に10μg/ml以上のp40を持っており、血清中のp40はモノマーが主であるが、ダイマー、トライマ-も含まれていることが確かめられている。このマウスは正常の発育を示し、胸腺、脾臓、リンパ節の細胞集団構成も正常であった。この脾臓細胞を用いてYAC1細胞に対してNK細胞活性を検索したところ、正常マウスと比較してNK活性が低いことが分かった。p40はIL-12が受容体に結合するのを阻害してIL-12活性を阻害する。したがって、p40TgマウスのNK細胞IL-12受容体はp40が結合し,外から加えたIL-12の効果も見られない可能性がある。そこで、IL-12存在下にNK細胞活性を見たところ、予想どうり、NK細胞活性増強は見られなかった。以上の結果はIL-12は種々の抗腫瘍免疫機構を介して、強い抗腫瘍作用を発揮することが分かった
|