研究概要 |
1.NK活性を欠損させたSCIDマウスにヒト肺癌細胞を経静脈的に移入し、リンパ節、肝、腎への遠隔転移が6-8週間の長期間を経て形成されるモデルを確立した。(Yano S.et al.,Int.J.Cancer,1996) M-CSF遺伝子導入ヒト肺癌細胞の転移能を上記転移モデルで検討し、M-CSF遺伝子導入により肝及びリンパ節転移は抑制されるが、腎転移は抑制されないことから転移抑制効果の臓器特異性を示した。(Yano S.et al.,Cancer Res.,1997) 3.抗P糖蛋白質抗体はマクロファージの抗体依存性細胞障害反応(ADCC)を誘導し、ヌードマウス皮下に移植された多剤耐性ヒト肺癌及び卵巣癌細胞の増殖を抑制することを示し、さらに癌細胞へのMCP-1、またはM-CSF遺伝子導入が抗P糖蛋白質抗体の治療効果を増強することを明らかにした。(Nishioka Y.et al.,Int.J.Cancer,1997;Sone S.et al.,Jpn.J.Cancer Res.,1996)また、ヒト小細胞肺癌が高発現しているガングリオシドGM_2に対するマウス・ヒトキメラ抗体KM966がヒト単球及びリンパ球のADCCを誘導しヒト小細胞肺癌株を傷害することを明らかにした。(Hanibuchi M.et al.,Jpn.J.Cancer Res.,1996) 4.肺癌患者の抗腫瘍エフェクターの自己癌細胞に対するキラー活性の解析:まず、健常人のエフェクター細胞を用いて新規サイトカインのキラー活性に対する影響を検討した。IL-12およびIL-15は用量依存性にリンパ球の抗腫瘍活性(LAK)を誘導しうること、単球の存在下でその活性がさらに増強されることを明らかにした。(Takeuchi E.et al.,Jpn.J.Cancer Res.,1996)現在、肺癌患者から分離した末梢血単核球に対するIL-12、IL-15および両者併用の効果を検討している。
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