1.電位依存性K^+チャンネルのサブユニットとして報告されたラットのKvβ1.1をプローブとしてウサギ心筋のcDNAライブラリーより12個のポジティブクローンを得た。それらクローンの塩基配列は現在決定中であるが、これまでに得られている配列より、Kvβ1.1がウサギ心筋に存在することが明らかとなっている。現在まで心筋からのKvβ1.1のクローニングは報告されておらず、そのかわりヒトの心筋などからKvβ1サブファミリーのうちKvβ1.2、Kvβ1.3のクローニングが報告されているが、このことは異なる動物種におけるスプライシングの違いによるのかも知れない。またKvβ2サブファミリーに属するサブユニットも今回のスクリーニングによって得られている。これらクローンの機能は今後検討していく。 2.αサブユニット(Kv1.4とKv1.5)のN末端のアミノ酸配列上良く保存されている領域よりも前の部分を欠失させ、そこにラットKvβ1.1のN末端の約30個のアミノ酸を繋げた形のキメラを作製し、Kvβ1.1のN末端のαサブユニットに対する影響を検討した。それらを卵母細胞に発現させ流れる電流を観察したところβ/Kv1.5の方は速い不活性化を示したのに対して、β/Kv1.4の方はほとんど不活性化を示さなかった。繋げた領域のアミノ酸配列の比較からβ/Kv1.4の方がβ/Kv1.5よりもアミノ酸数が6個程度少ないことがその原因として考えられたため、そのアミノ酸を加えた新しいβ/Kv1.4v2を作製し発現させたところ速い不活性化を示した。Steady-stateの不活性化曲線を比較するとβ/Kv1.4v2の方がβ/Kv1.5よりも30mV以上も負の側にあった。また野生型Kv1.4と比較すると両電流の不活性化からの回復は非常に速かったが、特にβ/Kv1.5電流の場合が速く1秒以内に完全な回復が見られた。
|